東山の不思議なお寺

丸山公園をくだり、高台寺の近くまでくると、東山を控えて巨大な観音像が見えてきます。それが霊山観音(りょうぜんかんのん)です。拝観料は大人300円で、受付で支払いをすると、パンフレットと大きなお線香をもらえます。

霊山観音は、昭和30(1955)年「平和日本の建設と殉国の英霊並びに大戦による犠牲者の冥福を祈念するため」に石川博資(いしかわひろすけ)氏により建立されたそうです。観音像の高さは24mもあり、圧巻です。観音像の内部では胎内めぐりができます。

境内は、戦争犠牲者追悼のための施設や慰霊碑が主となっています。陸軍中野学校の慰霊碑の周りには、各都道府県から集められたという石が配され、非常に凝った造りがなされていました。

また、日本だけでなく韓国人犠牲者の慰霊碑や世界の戦争犠牲者を祀る施設もありました。

メモリアルホールという施設には、世界無名戦士の碑があります。

ホール内に設置されている冊子には、「第二次世界大戦中で日本軍の支配下で亡くなったすべての連合軍捕虜、48146人(民間人抑留者も含む)の銘々票が保管されて」いると記されていました。

軍人が跪いて祈りをささげている様子が描かれた、めずらしい意匠のステンドグラスもありました。

一方で、戦争犠牲者追悼と平和祈願とはあまり関係のみられないような碑も建てられていました。それが、この記事のタイトルに「不思議な」と冠した理由です。

ひとつめは、ふぐの碑です。ふぐ供養とふぐ食の安心、安全が祈願されているそうです。私は何でこんなところでふぐがお祀りされているのだろう?と不思議に思い、とても興味深く感じました。

ふたつめが、京料理道先人供養塔です。「料理道を志す人達の心のよりどころとして、又道を極めて旅立たれた先人たちの偉業を称える為」建立されたとのことです。料理関係で、先ほどのふぐの碑とも繋がりがあるのかな?と思いました。

最後は、花の命の安らぎを祈念する、花塚です。私も道端で花を摘んだり、花屋で買ったりしますが、花の命の事なんて今まで想いを馳せたことすらありませんでした。けれど、そういう花の命にもお祈りをしてくださっている人たちがいたのだなぁ…と意表を突かれる思いがしました。

目を引くのは巨大な観音像ですが、ひとつひとつの慰霊碑や施設をじっくり見て回ると、いくつもの発見がありました。この他にもみづこ地蔵尊や願いの玉、良縁の愛染明王堂など色々な祈りの場が混在しており、興趣が尽きないお寺でした。

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