とびしま海道へ

2日目は,瀬戸内海の岡村島から呉市の川尻に至るまで,5つの有人島と2つの小さな無人島を7つの橋で結ぶ「安芸灘(あきなだ)とびしま海道」を走ることを目的としていました。

今治から岡村島までは,関前航路が運行されており,フェリーか旅客船を利用して行くことが出来ます。

関前航路 『今治市「せきぜん渡船」HP』より (https://www.city.imabari.ehime.jp/chiiki/tosen/sekizen.html)

ただ,フェリーには自転車の台数制限がありませんが,旅客船には自転車は10台までという制限があります。私は9時半の旅客船を利用する予定でしたので,その10台の中に入れるかどうかを少し心配していました。

9時ごろに港に着き,急いで切符売り場へと向かいました。下の写真ではわかりにくいですが,船の形をしたオシャレな建物でした。

切符売り場で9時半の便について尋ねると,私で6人目とのことでしたので,ちゃんとチケットを買うことが出来ました。売り場の方のご厚意で,アンケートに答えて,「せとうちサイクルーズPASS」を発行していただき,運賃も少し割り引いてもらえました。

船着き場に向かい,旅客船「とびしま」に乗船です。

岡村島に到着

とびしま号は,大三島の宗方,大下島(おおげしま),小大下島(こおげしま)に寄港し,岡村には約1時間で到着しました。

今治で一緒に乗船したサイクリストの方たちは途中で降りられ,岡村港で下船した自転車は私だけでした。

長閑な港町の雰囲気に,心ものびやかになります。ゆっくり走り始めました。

車の往来もほとんどないため,海沿いの道を風景を味わいながらのんびり走っていくことが出来ました。

走っている途中では,釣りをしている方を多く見かけました。

瀬戸内の海は穏やかで,お天気も良くて,本当に気持ちがよかったです。小さな中ノ島,平羅島を過ぎると大崎下島です。

御手洗地区を見学

大崎下島にある「御手洗」という地域は,江戸時代の西廻り航路の潮待ち港として発達し,遊郭の立ち並ぶ花街としても栄えたところだそうです。現在は「伝統的建造物群保存地区」に指定されているとのことでしたので,見学に行きました。

網の目の様な細い通りに,町屋が立ち並んでいました。

若胡子屋(わかえびすや)跡は,御手洗地区最大の遊郭跡であり,現在は資料館となっています。

広島藩から許可を得た茶屋で,50人近くの遊女を抱えていたそうです。

潮待ちの港では,停泊している船の乗組員に対して遊女を運ぶ「おちょろ舟」という小舟が存在したそうです。私は御手洗を訪れてそのことを初めて知りました。昔の女性たちのことを思うと,胸が痛くなりました。

資料では,御手洗のことは「古くから遊女の港町として船人たちに広く知られ彼らの旅情を慰めてきたところです」と説明されており,「旅情を慰め」るという薄ぼんやりとした表現にも,何となく心が重たくなりました。

御手洗地区には洋風の建築物もありました。

「乙女座」は昭和初期に建てられた劇場だそうです。

水色の洋館は,現在は床屋さんとして営業されていました。

少し暗い気持ちになりながらも,御手洗の景観は美しく保存されていて,見どころも多かったです。あまり人もおらず,静かに見て回ることが出来てよかったです。

再び自転車に乗って走り出すと,海岸沿いに住吉神社や高灯篭が見えてきました。

このまま大崎下島の南側の海岸線を走って豊島へ向かうことにしました。

海の真横を走ることが出来て,気持ちの良い道でした。

道幅が狭く注意が必要な個所もありましたが,ほとんど車が通らないため,難なく通って行くことが出来ました。

豊浜大橋が見えてきました。

豊島は軽く走り抜けて,豊島大橋へ向かいました。

豊島大橋に向かうまでの勾配が7%くらいで少しキツかったです。えっちらおっちら登っていきました。橋を渡り,上蒲刈島(かみかまがりじま)に入ると,すぐにトンネルがありました。トンネルは路面もきれいで明るく,それほど怖くありませんでした。この先もう一つ,短いトンネルがありました。

上蒲刈島は結構アップダウンがあり,大変でした。

けれど,登りを頑張れば,素晴らしい眺めを堪能することが出来ます。

下り坂を風を切って降りて行くのも,爽快でした。

蒲刈大橋を渡ると,最後の島である下蒲刈島です。蒲刈大橋は,広島県で一番大きなトラス橋(三角形が連なっている構造の橋)だそうです。

13時を過ぎ,だんだんおなかが空いてきたので,下蒲刈島も見どころの多そうな島でしたが,足早に走っていきました。

帰ってからインターネットで調べて見たところ,下蒲刈島には「松濤園(しょうとうえん)」という庭園があり,そこに日本で唯一の朝鮮通信使の資料館があるそうです。

石畳の道を抜けて坂道を登り,漸く安芸灘大橋に到着しました。

橋の長さは1175mです。有料道路ですが,歩行者および自転車は無料で通行することが出来ます。

本土に到着

安芸灘大橋を渡り切ると,呉の川尻に到着です。

川尻からは,尾道方面へ向かって国道185号線の「さざなみ海道」を走っていきます。さざなみ海道といっても,ずっと海岸線沿いの道ではなく,内陸部を走る部分もありました。

だんだん空腹が辛くなってきたため,安芸川尻駅付近で飲食店を探し,そこでお昼をとることにしました。グーグルで検索すると,ちょうどお好み焼き屋さんが近くにあるとのことなので,そこへ向かいました。

お好み焼きKENさんです。私が入店したときは,もうお昼の時間も終わりかけていたのですが,お店に入れていただくことができました。

おそばを入れた広島焼を注文しました。麺は細くて,ソースが甘くて,美味しかったです。生れてはじめて本場の広島焼を食べることが出来て,よかったです。

広島焼でパワーチャージできたのですが,それでも身体がしんどくなり始めていて,しんどいなぁと感じながらも,ペダルを踏みました。

だんだん疲れてきたところで,尾道から車で走ってきてくれていた家族とちょうど出会うことが出来ました。目標としていた竹原という街まではあと10kmで,走れそうかなぁ?という距離だったのですが,疲労も感じていたので,もうここで今回の旅を終えることにしました。

2日目の総走行距離は約60kmでした。

まずは,お天気に恵まれ,事故やパンク等なく走ることが出来て本当に良かったです。2日間かけて,瀬戸内の四つの海道を走ってみて,どんなところかということがよくわかりました。また機会があれば,今回の経験を活かして,違ったルートや今回訪れられなかった場所を走りに行きたいと思います。

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